賃貸物件を借りるときには、様々なトラブルに遭遇する可能性があります。
例えば、契約内容や費用、入居直後、敷金や礼金の返還問題、退去時の原状回復費用の請求、近隣住民とのトラブルなどです。
これらのトラブルは、契約書の内容や法律の知識が不十分な場合に発生しやすく、解決するのに時間や費用がかかることもあります。
そこで、この記事では、賃貸物件で起こりやすいトラブルとその対処法についてご紹介します。
契約時のトラブルを回避するには
入居する賃貸物件の契約書を理解することは、今後のトラブル回避に欠かせません。
以下に、賃貸契約書の重要な項目とトラブルを避けるためのポイントを解説します。
重要な項目の確認
まず、敷金・礼金、家賃、管理費、共益費などの料金に関する項目を明確に理解しましょう。
また、敷金や礼金の返還条件やタイミングもチェックし、不明点がないか確認してください。
さらに、修繕やリフォームの義務、費用負担についても契約書に記載されているか確認しましょう。
退去時の取り決め
将来の退去時に問題が生じないように、敷金の返還条件や引っ越し費用の詳細を把握しておきましょう。
また、部屋のクリーニングや修繕に関するルールも契約書に明記されているか確認し、トラブルを未然に防ぐようにしてください。
契約解除の際の通知期間や手続きについても把握しておくことが重要です。
共用部の利用ルール
共用スペースや駐車場などの利用ルールも契約書に詳細が記載されています。
住人同士の騒音や生活ルールに関する取り決めも確認し、快適な共同生活を送るための基準を把握しておきましょう。
契約更新時に起こりやすいトラブル
賃貸物件の更新時には以下のトラブルが起こりやすいです。
家賃の値上げ
更新時に家賃の値上げが行われる場合、入居者との合意が必要であり、トラブルが生じることがあります。
賃料改定については、条件が契約書に記載されているので、まずは契約書を確認しましょう。
家賃の値上げに納得できないのであれば、管理会社や大家に問い合わせるようにしてください。
万が一、合意できないまま契約満了となってしまっても賃貸契約は法廷更新されるので、借主は住み続けることができます。
更新拒否
契約の更新について賃貸契約を更新しないという通知が届く場合があります。
しかし、借主保護の観点から、正当な理由がない限り貸主側が契約更新を拒否することはできません。
正当な理由があっても解約時期の6カ月前までに通知が必要です。
契約内容の変更
更新時に契約内容の変更を求められる場合、条件や要求についての合意が難しいことがあります。
トラブルの報告不備
トラブルがあったにも関わらず、適切に報告されない場合、後に大きな問題となる可能性があります。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、契約更新時には条件や料金の詳細をしっかり確認し、適切なコミュニケーションを取ることが重要です。
また、トラブルが発生した場合には適切な相談先を知っておくことも大切です。
入居時に起こりやすいトラブル
同じ部屋に長い間住み続けていると入居時にはなかったトラブルが起こるかもしれません。
生活中に起こりやすいトラブルについて解説します。
設備の故障
使用しているとガスコンロやエアコンなどの設備の故障が発生することがあります。
基本的にこれらは貸主の所有物であるため、故障した場合は修理や交換の手続きが必要になる場合があります。
自己判断で修理や交換はせず、管理会社や貸主に連絡しましょう。
ただし、乱暴に扱ったり、故障を放置して状態が悪化したりした場合、借主の過失により自己負担となるケースがあるので、故障や不具合があればすぐに連絡するようにしてください。
水漏れ
突然の水漏れや漏水が発生することで、部屋や隣人への影響があります。
水漏れを発見したらすぐに管理会社へ連絡しましょう。
なお、修理費用は原因の所在によって変わってきます。借主側の過失であれば借主負担、経年劣化によるものであれば貸主負担です。
判断が難しい場合は、念のため、水漏れの状態をスマートフォンで撮影し記録に残しておくといいでしょう。
カビの発生
換気がよくない、結露が発生する、水漏れが原因でカビが発生することがあります。
カビを放置していると通常の掃除では落ちない汚れとなってしまい、退去時に原状回復の費用が発生します。
カビを防ぐのは借主の責任なので、カビを見つけたらすぐに掃除するようにしましょう。
近隣住民とのトラブル
騒音や共用部のマナー違反など、近隣住民とのトラブルが発生することがあります。
トラブルとなった場合、こちらも早めに管理会社へ連絡しましょう。
余計なトラブルの元になるため、いくら、不満があるからといって自分で相手方に乗り込んではいけません。
また、自分がトラブル元だと思われるケースもあります。そうならないように、音やマナーについて守ることが大切です。
駐車場の無断使用
契約している駐車場に、無関係の車が駐車するトラブルがあります。外出から帰宅したのに駐車できないのは、ストレスが生じるでしょう。
駐車禁止の貼り紙をするということが多いですが、もしも、車に傷をつけてしまうと別のトラブルに発展するリスクがあります。
まずは管理会社や大家に相談しましょう。
事実関係を第三者に示すために証拠も必要です。無断駐車された日時やナンバーを記録し、駐車の状況を画像に残しておくといいでしょう。
他にも隣の車を擦ってしまったというトラブルもあります。少しの接触であればバレないと思うかもしれませんが、ちょっとした接触でも事故として扱われます。
事故を起こしたら警察に届けなければなりません。届けないと前科・前歴がつくリスクがあるので、必ず警察に届けましょう。
無断でペットを飼っていることが発覚
野良猫を拾ってしまい、ペット禁止物件にもかかわらず飼育を始めてしまう方がいるかもしれません。
無断でペットを飼っていることが発覚すると、契約違反となり契約を解除されるリスクがあります。
バレなければ大丈夫と思うかもしれませんが、ペットの鳴き声を聞いた他の部屋の住人が通報するケースは十分考えられます。
ペットを飼育したいのなら、ペット可物件への引っ越しを検討しましょう。
入居者の変更
契約した物件に無断で、友人や家族を住まわせると、契約違反となり解除されるリスクがあります。
入居者の変更がある場合、管理会社や大家に連絡して手続きするようにしましょう。
一般的に入居者の変更は、契約内容変更届を提出する必要があります。同居人が増える場合、許可がもらえれば審査の必要はありません。
もし、契約者が変わる場合、再審査が必要になり、事務手数料もかかります。
なお、一人暮らし専用の物件の場合、同居人は不可と思っていいでしょう。
退去時に起こりやすいトラブル
賃貸物件の退去時に起こりやすいトラブルと対処法は以下の通りです。
原状回復のトラブル
物件の原状回復が不十分だということで、高額な請求がくることがあります。
退去時には入居後について汚れや傷を修繕するための修繕費がかかります。
基本的に敷金で清算されることになっていますが、人が住んでいれば部屋は消耗するものです。
この場合の原状回復とは、入居前の状態に戻すことではなく、普通に生活していれば発生する傷や汚れを除いた状態で判断されます。
つまり、掃除を怠らずに普通に生活していれば、退去費用は必要ありません。
敷金が戻ってこないトラブル
敷金は入居者が家賃を滞納したり、不注意で部屋を汚したり、傷つけたりした場合の修繕費として預けているお金です。
基本的に戻ってくるものですが、敷金がまったく戻ってこない場合があります。
契約内容の確認や写真の撮影を徹底することで、トラブルを防ぎましょう。
ハウスクリーニングの特約には要注意
退去時の賃貸契約に、「退去時はハウスクリーニング費用を支払う」という特約が含まれることがあります。
この場合、敷金からハウスクリーニング費用が差し引かれるので、契約を結ぶ際はチェックしておきましょう。
一般的なハウスクリーニング費用は、家賃の1ヶ月分が目安とされています。
契約内容の誤解
契約内容が誤解されることでトラブルが生じることがあります。契約書をしっかり理解し、不明点は確認しましょう。
退去時には契約内容の遵守とコミュニケーションが重要です。事前に退去の手続きや注意事項を確認し、トラブルを未然に防ぐ努力をしましょう。
賃貸物件でトラブルが起きたときの連絡先や対処法
賃貸物件で住んでいると、家賃の支払いや修繕費用、近隣トラブルなど、さまざまな問題に直面する可能性があります。そんなときには、どのように対処すればよいのでしょうか?
まず、トラブルの内容によって、相手方が変わります。一般的には、以下のように分けられます。
– 家賃の支払いや修繕費用など、契約上の問題:大家さんや管理会社
– 近隣トラブルや共用部分の問題:隣人や管理人
– 水漏れや故障など、物件の不具合:大家さんや管理会社、修理業者
トラブルが発生したら、まずは相手方に連絡して事情を説明しましょう。
– 事実を正確に伝える
– 感情的にならずに冷静に話す
– 責任の所在や解決策を明確にする
– できるだけ早く対応する
相手方と話し合っても解決しない場合は、次のステップに進みます。その際には、以下の点に注意してください。
– 契約書や領収書などの証拠を用意する
– 法律的な知識や専門家の意見を参考にする
– 消費者センターや弁護士などの第三者機関に相談する
– 裁判所に訴える場合は、費用や時間、リスクを考慮する
賃貸物件でトラブルが起きたときは、パニックにならずに冷静に対処することが大切です。相手方と円満に解決できるように努めましょう。
しかし、自分の権利や利益を守るためには、必要な場合は法的な手段も検討することが必要です。